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| 良い天気だった。 前回(2013/04/04)も前々回(2013/01/04)も良い天気だった。 地学の専門家、山歩きの専門家、有機農業(どぶろくつくりも)の実践家･･、 今日のメンバーもユニークな人ばかり。その中にいるに違いない晴れ男(女)に感謝！ 出発前に資料が配られた。 ・本日の目的：勘七沢の「地質構造と岩石の予備調査」 ・「地域地学素材がつむぐ 〜戸川砥プロジェクトの実践〜」という素晴らしい報告書のおまけつき！ (戸川砥に関する参考URLは 2012/04/16、2011/04/02、2010/08/30など) その戸川砥(秦野産天然砥石)保存・普及チーム代表・藤本さん(HPは こちら)の車で現地へ。 |
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二俣の手前、 水無堀山林道ゲート前に車を停める。 山支度を整え9時26分、 ここに残る藤本さんに見送られて出発。 以降、藤本さんとは無線を通して 折々に連絡を取り合う。 |
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| 水無堀山林道ゲート前 | 調査隊出発！ | |
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濃さを増してきた緑の中に 旧登山訓練所の建物が見える。 遠目には立派に見えるけれど、 今は手入れする人もなく廃墟に近い。 二俣の木橋を渡って沢支度に替える |
| 旧登山訓練所 | 二俣 | |
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入渓してすぐ堰堤が見えてきた。 左から越える。 更に5〜6分ほど先、 右に小草平ノ沢を合わせ、 ほぼ直角に左を見ると 勘七沢F1が見える。 さぁ、いよいよだ。 |
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| 堰堤 | F1が見える | |
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F1(5m) 勘七ノ沢は2010年度の登山教室で初めて歩いた。 今回は2回目3年ぶり。 目の前に滝を見ると記憶が次第によみがえってくる。 最初の出だしが細かかった。 左中間辺りに見えるスリングを越えれば･･。 |
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| F1(5m) | ||
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| スリングをセットするOzさん | 登るSuさん | ビレイするArさん |
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F2(7m) F1のすぐ先、もうF2が見えている。 地層の大きさをモデルのSuさんと比べてみよう。 この滝は右の岩壁を登る。 |
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| F2(7m) | ||
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| リードはArさん | ビレイするOzさんと、調査中の門田先生とSuさん | 登る門田先生 |
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大きな堰堤を右から越える。 堰堤の上は 雰囲気の良い河原が広がっている。 河原状を詰めていくと 谷は再び狭まってくる。 奥に滝が見えてきた。F3だ。 |
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| 河原状を進むと･･ | F3が見えてくる | |
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F3(7m) 斜めに落ちるトイ状の滝。深い釜を持つ。 右から釜の淵をへつり正面の階段状を登るか、 左の岩壁をトラバース気味に超えるか･･。 ボクらが登路を観察している間に、先生は何か見つけたようだ。 |
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| F3(7m) | ||
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| 転石を観察する門田先生 | 左から登る(写真提供：門田先生) | 登るOzさん |
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| おだやかに見えても･･ | 巨大な圧力を受け続けた大地 | 何の跡？ |
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ナメ状の硬い岩床は、フリクションが利いて歩きやすい。 以下、門田先生の説明によると･･。 この白い岩盤は海底火砕流によって堆積して出来た凝灰岩である。 約1500万年ー1700万年前に海底で厚く堆積した溶岩や火山灰の地層がここにある。 今は四十八瀬川の源流が削って険しい谷をつくっている。 12時を少し過ぎていた。 適当な場所に腰をおろし昼食をとることになった。 |
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| ナメ | ||
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| 奥にF4の見える辺りで | 休憩 | 昼食もそこそこに観察 |
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F4(上段10ｍ、下段4m) 上下2段の美しい滝。 1段目は水流の右を、 2段目は中間から右の窪を登る。 |
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| F4(上段10ｍ、下段4m) | ||
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| 1段目段を登る(写真提供：Arさん) | 1段目を登攀中の門田先生とOzさん | 落ち口から |
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F4を越えると右から小さな沢が合流する。 水が比較的冷たい。 付近を断層が通り、 湧水が流れ出ているそうだ。 そういえばこの小沢を境に 岩が何となく黒っぽいような･･。 |
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| 湧水が作る流れ | 岩が黒っぽい | |
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| 大きな堰堤 | 左から登るか | 右の仕事道をたどるか |
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容易に超えることのできる 堰堤もあるけれど、 大きく高巻く堰堤もある。 堰堤も「人工の滝」と思えば、 どう越えるかとルート選定もまた楽しい。 |
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| 大きく高巻く | ダイレクトに超える | |
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けれど、予備調査であるという 大きな目的を忘れてはいけない。 小さな支沢で コンクリート製の穴を見つけた。 暗渠？ 坑道排水溝？ 人の営みは こんな山奥にまであるんだね･･と驚く。 |
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| 本流だけでなく･･ | これは･･と思われる支沢も調査する | |
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周囲を観察しながらのゆっくり遡行。 前方に大きな滝が見えてきた。 F5(15m) 15mと言われているがだいぶ埋まり、 中間のテラスまでが低くなった。 |
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| 前方に大きな滝 | F5(15m) | |
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| 高巻はすぐ左の窪 | 水流の左を登る | 落ち口付近 |
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F5を過ぎると両岸が狭まってくる。 一つ目の滝の手前で 門田先生が立ち止まった。 岩を貫くように見える岩体は マグマの通った跡だそうだ。 |
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| 左下に･･ | マグマの通った跡 | |
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小滝が連続する。 登山靴のOzさんは濡れることを嫌って右から高巻く。 Ozさんは冬山も岩も経験しているベテランだ。 昔は沢靴などなかった。クライミングシューズもなかった。 革製の登山靴だけで、沢も岩もこなしたのだ。 |
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| 小滝 | ||
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| 小滝が連続する | 樋状の滝 | 濡れずに攻めるのは難しい |
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| 前方に石積み堰堤 | 城の石垣のよう | 低い堰堤は直接越える |
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石垣の間に咲くスミレを見つけた。 スミレ類の咲くのは日当たりのよい低地(里山)･･というイメージが強いけれど、 1000mを越えるこんな湿った所でも育つんだねと、その繁殖力の強さに驚く。 |
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| タチツボスミレ | ||
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| 黒い滝 | 小滝 | 小滝が続く |
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周囲を観察しながらの遡行が続く。 ガスホール(火山ガスが噴出した孔の跡) ＝白い点々＝の見える岩、 それは 海底を流れた溶岩が固まった岩であり、 丹沢が海底火山として誕生した証拠 ･･でもある。 |
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| ガスホールがくっきり | 枕(溶岩)がつぶれたような形にも見える･･ | |
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| 水流がだいぶ少なくなってきた | 小滝 | 観察中･･ |
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| 流れが次第になくなり･･ | 伏流水となる頃･･ | 大ガレを見る |
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前方に大ガレを見たあと、沢はゆるく右にカーブしていく。 不規則な三俣の中央に入る。入口の立ち木に黄色いテープが巻いてあった。 |
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| 三俣の中央に | ||
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F5以降、小滝・ゴルジュが連続しF6､7､8は知らないうちに通過してきた。 F9(10m) 久しぶりに現れた滝らしい滝は「丹沢の谷110ルート」のF9(10m)か。 右の窪から入り中間やや上部からカンテを登る。 勘七沢では最後の滝。岩の感触を楽しみながら登った。 |
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| F9(10m) | ||
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| 上部はガレ沢 | キツい詰め | 落石厳禁 |
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ガレガレの詰めがキツかった。 立ち木が出てきた時ホッとした。 どんなに傾斜がキツくても、 安定した手がかり足がかりがあればなんとかなるものだから。 木の根、木の幹をつかんで体を引き上げる。 幾分傾斜がゆるみ草原に出た時、小丸尾根の端に富士山が見えた。 赤く染まる富士山が、今までのがんばりのご褒美のように思えた。 |
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| 赤富士は、頑張った者への褒美か | ||
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| 草原をトラバースして･･ | 大倉尾根へ | カエル岩で沢装備を解く |
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調査・観察しながらの遡行に思わぬ時間がかかり、辺りはもう暗かった。 ヘッドランプを点け足元を照らしながら下った。 とりわけ小草平から二俣に下る植林帯の中は真っ暗で、 ヘッデンの灯りの中に登山道がぼんやり浮かび上がるだけだった。 藤本さんの待つゲート到着は20時30分を少し過ぎていた。 |
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| 夜景を見ながら･･ | ||
秦野駅南口の居酒屋で振り返り。 時間はかかったけれど、 勘七ノ沢を最後まで詰め上げることができて楽しかった。 けれど当初の目的「地質構造と岩石の予備調査」に関しては 枕状溶岩も砥石の原石も確認することはできなかった。 大倉尾根を挟んで水無本谷には枕状溶岩があった。(参考URLは こちら) 小丸尾根を挟んでミズヒ沢にも枕状溶岩があった。(参考URLは こちら) 二つの沢の間にある勘七ノ沢。 今回の予備調査を通してルートの概要をつかむことができた。 いつか行われる本調査でどんな発見があるか･･、楽しみは少し先に伸びただけ。 |
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