バス停のある駐車場からは、雪倉岳から朝日岳に続く稜線がくっきり見えます。もし避難小屋に泊まっていたら、今頃は朝の光を浴びながらあの辺りを歩いていたかもしれません。

　「目標を達成できなかった」という点では、今回の山行は失敗です。しかしボクは、強い風と豪雨の中を、今までの知識と経験で判断し乗り切ってきました。自分が判断して決めたことに後悔はしていません。それどころかボクは、「いつかまたあの稜線を歩き、再び日本海を目ざすぞ」という夢を持ち続けることができたのです。

　人は夢を持ち、その夢を実現させようと努力を続けていくことの中に、今を生きていく証（あかし）があるのではではないでしょうか？　大糸線平岩駅に向かうバスの窓から、ボクは日本海まで続くその山並みをいつまでも見つめ続けていたのです。

　長い紀行文を、最後まで読んでくれてありがとう！